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スパッツ
スタッフの使用率もほぼ100%の超定番スパッツのはてな?
第一回目は、スパッツです。
数あるTAKEFU製品の中でも人気が高く、スタッフの使用率もほぼ100%の超定番商品。絶妙に落ち着く履き心地と、冬の防寒・夏の汗取りにも適する機能性で、私も愛用しています。このスパッツがどう作られているのか?デザイナーのSさんにお話を伺いました。
―まずは、どのような工程で今のスパッツは作られたのでしょうか?―
S「私がTAKEFUに入った時、すでにスパッツは商品として存在していて、それを改良してきました。基本的にTAKEFUの商品は私がひとりでデザインしているわけではなく、社長や副社長、スタッフの皆さんと共に、お客様の貴重なご意見を聞きながら商品を改良したり、新商品を開発したり、アイディアを形にしていきます。」
―既存の商品を改良する上で、大切にしていることはあるのでしょうか?―
S「素材が素晴らしいので、この素材を最大限に生かすように心がけています。寸法感、フィット感、縫製などにも気を配り、心地良い商品になるようにしています。」
―今年は新色、ライラックが発売されましたが、色もそのような流れですか?―
S「はい。まずはカラーパレットを社長や副社長と見ながら、いろいろな人に似合いそうな色、トレンドも汲み取りながら色の方向性を決めます。
ライラックはそのようにして決まりました。その後、工場の方に“ビーカー”という染見本を作成してもらい、希望の色をフィックスします。」
お客様の声も取り入れつつ、話し合いながら作っていく。
そこに社長や副社長も参加しているというのは、ひとつひとつの商品へのこだわりの強さ、温度感を改めて感じます。それでは具体的な点について、聞いていきたいと思います。
―スパッツはTAKEFU95%、ポリウレタン5%の配合率ですが、ポリウレタンとはそもそもどういう素材なのでしょうか?―
S「ポリウレタンは天然ゴムの代わりに開発された素材です。
伸縮性の無い素材に混ぜるとストレッチ性の高い生地になります。スポーツウェアや動きの多いカットソーに入れることが多く、TAKEFU以外のレギンスにも多く使われていますね。この商品にも最低限入れています。」
―こちらの縫い方はどういったものですか?―
S「縫い方は素材や部分によって変えています。スパッツの場合は、ほつれ留めをしながら縫い合わせる“ロックミシン始末”を採用しています。カットソーでよく使われる“ウーリー糸”という伸縮性のある糸を使って縫製しています。」
―“カットソー系”というのは?―
S「素材は大きく分けると布帛(ふはく)、カットソー、ニットの3種類に分けられます。
カットソーはニットの仲間です。布帛とは織物のことで、縦と横に糸を張り上下交互に重ねて行きます。カットソー、ニットは糸を引くと1本になる編み物です。
カットソー・ニットは比較的伸縮性がありますね。」
生地がポリウレタンによって伸びるだけでなく、縫い糸も伸びるものを使い、程よい伸縮性を出しているんですね。その伸縮性によって、ぴったり肌に沿う心地よさが実現されることがわかりました。
―このギザギザの縫い目は?―
S「千鳥ステッチですね。装飾性がある飾りステッチのひとつです。
ですが、これを施す理由は飾りだけではありません。実は、この表面と裏面の間に、一枚生地が仕込んであるんです。
“パワーネット”という、薄くて伸縮性のある、補強に使う素材です。
履いているスパッツが落ちてこないよう、しっかりとした履き心地にするために入れています。そのパワーネットを押さえている糸が、この千鳥ステッチですね。
パワーネットは前身頃のウエストに入っていますが、縫い目は最小限にしています。」
―旧タイプのスパッツはウエスト部にゴムが入っていました。
新スパッツではゴムをなくすために、代わりにパワーネットを使って改良したということですか?―
S「ゴムをなくすために、ではありません。先に、スパッツのお腹の部分を腹巻的な意味合いを込めて太くしようというアイディアがあり、その太さに適するゴムだと硬すぎたり、強すぎたりするので、パワーネットを使用することにした、という形ですね。」
―デザイン先行なのですね。その部分にこだわりはありますか?―
S「長すぎると本当の腹巻のようになってしまい、リラックスパンツもあるので差別化を図っています。
邪魔にならず、なおかつフィットした時の安心感も大切にして絶妙な長さになっています。ゴムが入っていないので優しいフィット感にもなっていますね。」
実用性と肌への負担のなさ、両方を実現するために、生地だけでなく、糸にまでこだわっていることがわかりました。
それでは、実生活でスパッツを使う上での素朴な疑問を聞いてみます。
―人によって体系が違うのに、それぞれの体にピタッとフィットするのは、やはりTAKEFUの力なのでしょうか?―
S「フィット感自体は竹繊維に混ぜた少量のポリウレタンによるものです。他のメーカーのスパッツもフィットしますよね。
TAKEFUの力という点では長時間フィットしていても不快感が少ないというところが大きいのではないでしょうか。特別さは素材にあるのでは、と思います。
フィットした上での肌触りや体の緩み方が段違いですよね。TAKEFUは、生き物のように繊細で、衣服にするのが難しいんです。この難しい素材をいかに形にしていくかが重要になります。」
―繊細な素材なのですね。洗濯機でもネットに入れて洗えるということになっていますが、強度的には本来危ういのでしょうか?持ちの悪さを感じたことはあまりないのですが。―
S「“繊細”という意味が、弱いとか切れやすいとか、そういう意味ではなくて、“布地がとてもやわらかいので形にするのが難しい”というものなんです。
実際に作っている工場の方々がとても優秀なので、その力は凄く大きいです。こちらは寸法を出して、推測でこうなるだろう、と指示を出しますが、TAKEFUはその通りに作っても完成形が変わってしまったりする。
そこを現場で試行錯誤して、美しい形にしてくれています。実際肌触りにしても、すべらかでなめらか、とても“繊細”ですよね。そういった意味に近いと思います。」
―スパッツに限らずTAKEFUの商品は、ロットによって、若干色が変わってしまうことがありますが、どういう理由なのでしょうか?―
S「その時に取れる竹の繊維が、今年の原料は白っぽい、とか、黄色っぽい、とか、自然のものなので、若干の違いがあります。
それに合わせて染料は、例えば赤何割、青何割、と、その色を出すための数値を変えないといけません。最初に数値化した割合をそのまま入れてしまうと、繊維の色の違いによって出る色が変わってしまいます。
もちろん同じ色になるよう、ロットによって割合を調節しているのですが、これは大変難しい技術です。漂白していない天然素材だからこそ、そういった違いが出てしまうことがあります。」
Sさんのお話を聞いていると、この着心地の良さは魔法などではなく、たくさんの根拠によって成り立っていることを実感します。
最後に、SさんにTAKEFU製品の特殊性について、教えて頂きました。
―アパレルの世界で服に触れてきた方にとっても、TAKEFUは特殊なのですか?―
S「衝撃でしたね。触った瞬間、なにこれ?!と。初めての衝撃ですね。柔らかくてふんわりしていてすべすべ、ですけど、言葉で言い表せないようなものがありました。」
―製法についても、違いはあるのでしょうか?―
S「そうですね。例えばスパッツにしても、バンブーが95%も入っているなんて、とても贅沢なんです。コストがかかりすぎる上に、物性が安定しづらいので。
TAKEFUではそれができている!何故かというと、物性の安定以上に肌触りや着心地、肌への負担のなさなど、そこからの“商品力”を突き詰めているからです。
その突き詰めた商品をお客様が欲してくださる。ミラクルですよね。」
―基準というのはどういったものなのでしょう?―
S「服に限らず品物には品質を保つための基準が設けられています。
TAKEFUはその基準ぎりぎりの商品もあるかもしれません。例えば一般的なお洋服は、弱い部分に芯地という補強布、テープを貼って補強するのですが、それを接着させるノリには多少の化学物質が含まれています。
ここは社長のこだわりで、それを使わずに体への優しさを優先して、なるべく過度な補強はせずに作る。これがTAKEFUのやり方なんです。
何故それが成立するかというと、お客様がそれでもいい、その方がいいと、そちらのニーズがあるから。
強度を高めた商品を作るのであれば着心地や肌への負担の無さはどうしても今より落ちてしまう、それならばこの商品を受け入れて大切に着たい、という、お客様の理解がある。それがTAKEFUの凄いところなんです!」
―お客様との信頼関係が大前提にある商品だということなんですね。―
S「TAKEFUは口コミで知って、実際着ると離れられなくなるという流れが多いですよね。着る麻薬だ、と社長も言っていましたが、すごい商品力だからこそできることです。
大変なんですよ物を売るのって。可愛いだけでもトレンドに合っているだけでも売れないし、値段や機能性や、あらゆる角度から戦略を練って。皆、頭を抱えています。
TAKEFUはその中でも、そういったことにも気を配りつつ、着た時の着心地、商品力を最重視して作っているということですね。TAKEFUももちろんお客様のニーズに合わせながら、今までいらっしゃったスタッフの方々が練り上げたものがあっての今だと思います。
私はそれを元にお手伝いさせてもらっていると感じています。20年間積み重ねたものが、今こうして形になっていると思います。」
今回は第一回目ということで、スパッツのことだけでなく、TAKEFU製品全体に繋がることもお聞きしました。
特に最後のお話では、TAKEFUがものづくりをする上で大前提に大切にしていることが分かり、TAKEFUの着心地が他と違う、そのミラクルの根拠がわかりました。これからもSさんに教えていただいたこだわりを実感しながら、身につけていきたいです。
インタビュアー・みー
1992年生まれ。ナファ生活研究所直営店 Shop of TAKEFU "eau" 勤務。
趣味は宝塚観劇、旅行、食事など。好きな色はオレンジ、黄、緑。好きな季節は夏。最近暖かくなってきていてとても嬉しい。特にお気に入りのTAKEFU商品はソフトフィットインナー、スパッツ、バスタオル。
TAKEFU no HATENA
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